ニットキャップシアターの「カムサリ」を観劇するため、座・高円寺へ!
近頃、妙な天候が続く東京です。でも、それは今日のお芝居にはぴったりだったと言えるでしょう!
公演情報
団体 | ニットキャップシアター |
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作・演出 | ごまのはえ |
キャスト | 門脇俊輔、高原綾子、澤村喜一郎、市川愛里、織田圭祐、下川原浩祐、ごまのはえ、村木よし子(劇団☆新感線)、平林之英(sunday)、黒木夏海、仲谷萌、西村貴治、コタカトモ子、河波哲平、中田美優 |
劇場 | 座・高円寺 |
上演時間 | 90分 |
なんで天気悪いのがぴったりなの?
今回の舞台、団地なんですが、外は台風で荒れている、という設定があります。劇場までの道のりが少し薄暗かっただけに、なんとなく台風をイメージさせるのにバッチリだったんじゃないかな、と思ったわけです。
いざ、座・高円寺へ!
何度来てもきれいな劇場ですね。でも高円寺のメインストリートとは反対側だから、人通りは多くありません。
そういえば、いつの間にかボードゲームでおなじみのすごろくやが場所を変えていました。単純に店舗が増えたのかな? 入ろうか迷いましたが、ゲームの相手をしてくれるひとがいないので、今回はスルーしました泣。
ロビーに入ると、いつものように右手に受付があります。階段そばでは300円でコーヒーが売られています。気づくの遅く、買い逃しましたが、コーヒーのみたかったです。
座・高円寺の特徴として、挟み込みチラシという概念がありません。ロビーに置いてるから好きなの取っていってね、というスタイルになっています。チラシの挟み込み作業ってぼくも経験あるんですが、30分から1時間くらいかかるあの無駄(っていったら失礼だけど)な作業をまるっきり回避して、かつお客さんにも負担をかけさせないこのスタイルはなかなかの英断だと思います。小劇場だったら「置いてるチラシ全部持ってってね!」が当たり前ですからね。もちろん全否定しているわけではなくて風情があっていいと思いますけど、有名な劇団だと雑誌ぐらいの重量になることもあるので、「こんなにいらないよ……」って時もありますよね。それに手ぶらで気軽に入れない。これは小劇場演劇の欠点のひとつだと思いますね。
どんなお話?
冒頭にもちょっと書きましたように、台風の日のとある団地を舞台にした物語です。パンフには「ごあいさつ」と称して、作・演出のごまのはえのまえがきがあり、そこに、
『カムサリ』という作品は「古事記」にある「ヨモツヒラサカ」というエピソードと「オオクニヌシ」のエピソードを題材にしています。
(中略)
ですので『カムサリ』は死後の世界と産まれる前の世界を行き来する作品です。
とあります。言ってしまえば、この通りなのですが、もう少しだけ踏み込んでみます。
妻を亡くした「タモミ」、彼氏と喧嘩した「ナグサ」、その彼氏である「イソラ」、受験勉強中の「ウサ」と勉強を教える「ハヤト」、弟が生まれるのを今か今かと待ち続けている「サラサ」。台風の勢いがあまりにも強く、団地の中は停電になり、次第に非日常の空間に変貌した団地で6人の男女が様々な事件に巻き込まれていく、というお話……でいいのでしょうか?笑
作者の言葉を信じれば、おそらく「タモミ」と「サラサ」の弟のふたりの物語なんでしょうね。
ぼくは不勉強なので「古事記」はほとんど知りませんが、おそらく「古事記」の世界に飛んだり、登場人物のひとりが化け物になったり、突然「女にならなければいけない」と狂いだしたり、と非常に奇妙な世界観で、おそらくほとんどのひとが戸惑うと思います。また、アンサンブルの衣裳もいまどき「いかにも」な感じで、ぼくはめちゃくちゃ戸惑いました。
感想はどうだった?
ニットキャップシアターの公演は初めてでした。芝居の中で語りが随所に入り込んでくる。芝居6割語りは4割。わりと異色な演劇だと思います。好みが分かれるでしょうけど、この手法はアリですよね。ぼくは好きです。
で、ぼくは土曜日のお昼の公演を観に行きまして、実のところ、冒頭部分を観た時、「ああ、これはちょっと失敗したかも……」と思いました。
というのも、6人の男女演じる俳優の他に、アンサンブルのような役割を持った俳優が9人いて、彼らが様々な役に変わったり、あるいは台風になったり、もっと別の何かになったり、楽器を演奏したり、と結構様々な仕掛けがあるのですが、どうにもこうにも、15人いるキャストだれひとりとして観客を舞台に引き込むパワーが足りない。見せようとしているシーンのスケールに比べ、単純に声が小さすぎる。冒頭で台風が発生するシーンがあるのですが、そこで絶対盛り上げなきゃいけない(というより盛り上がるはずなのに)ちょっと弱かったですよね。休日の昼公演ですから、パワーダウンしてしまったのでしょうが、あそこで観客を完全に惹き込めなかったのはもったいないと思いました。すごくおもしろいことをしているのに。
ただ、だんだん芝居とともにエネルギーが上がってきたのか、こちらも次第にのめり込める状態になりました。でもやっぱり……パワーアップがちょっと遅かったかな……。おもしろかったのに上演時間90分とは思えないほど長く感じました。何度か時計を確認したくなりましたもん。
でもこれ、たぶん座・高円寺の設計にもあるような気がします。この劇場で上演する芝居はたいてい「声小さいな……」といつも不満に思っていたのですが、そもそもあまり声が響かない劇場なんですかね。あんまり詳しいことはよくわかりませんけど、どうなんでしょう。
とにかく、お芝居自体は本当におもしろかったです。ただ、「芝居」そのもののエネルギーが弱かった。そこが残念でした。
あと、ややこしいので関西弁なら関西弁を貫き通してほしかったです。
まとめ
ぼくが行った回が悪かったのかもしれませんが、なんというか、おもしろいのになんだかもったいないな、というのが率直な感想でした。次は王子小劇場で、今回の作風とは異なるモノになるということですので、期待の意味も込めて、次回もまた行ってみたいと思います。
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