2015/04/05

飛ぶ? 落ちる? 堕ちる? はえぎわ「飛ぶひと」を観劇しました!

ザ・スズナリはえぎわ「飛ぶひと」を観劇に行きました!

「飛ぶひとは落ちる」というフレーズが頭から離れなくて、まだちょっとお芝居を引きずっています。

公演情報

団体 はえぎわ
作・演出 ノゾエ征爾
キャスト

井内ミワク、町田水城、岡部たかし、山本圭祐、鈴真紀史、滝寛式、竹口龍茶、踊り子あり、川上友里、鳥島明、富川一人、山口航太、 ノゾエ征爾、恋塚祐子、中川綾子、中前夏来

劇場 ザ・スズナリ
上演時間 120分

演劇の聖地、下北沢へ

本日、あいにくの雨ですが、演劇の聖地、いや、サブカルチャーの聖地、下北沢駅は人通りが多く、非常ににぎわっています。

ポスターが貼ってますね。他にも下北沢の別の小劇場の公演チラシが貼られていて、そちらも非常に興味深かったです。

いざ、スズナリへ

あらかじめ購入していたチケットを受付に渡し、指定席番号が振られたチケットと交換します。受付開始時間に着いたので、ひとはほとんどいません。

開演まで時間があったので、雨の中、下北沢を散歩することにし、再度、劇場に入ります。

客席は桟敷席がなく、すべて椅子。八百屋舞台になっており、観客のぼくが見ても、かなり斜面がきついと感じます。実際に立つと、おそらくかなり身体に負担がかかるのではないでしょうか。

舞台中央床には正方形の大きな穴。下手奥はアクリル板らしきものが張られ、向こう側にはカーテンが引かれています。また、下手壁には屈めば出入りできる空間があり、壁上部には横向きのドアらしき模様があります。それから、上手奥には古ぼけたアパートにありそうなドア。上手側にあるのはそれぐらいです。

舞台が始まるまで、それなりの重量の挟み込みチラシをペラペラとめくって時間をすごします。

内容について、ちょっとだけ

舞台中央の穴に椅子があり、そこに座ってハンドルを握り、運転する男(演:町田水城)。だれも座っていないはずの助手席に向かって一方的に、ビルの屋上から別のビルの屋上へ飛び越え、どのラインから飛び越えられるのか、どのラインだと飛び越えられないのかを実験したひとの話を説明する。

場面は変わって、運転していた男とその妹(演:川上友里)とが、大声で会話する。男は「広島の兄」、妹は「東京の妹」。会話の中で「更新する」と言って、男は車に乗り込み、どこかに向かって走っていった。すると、すぐさま、ヒッチハイクをしていた別の男(演:山本圭祐)と衝突事故を起こしてしまって……。というお話、ではないんですが、ここまでが冒頭部分です。

この作品は広島に生きるひとたちを描いた群像劇で、「ハシモト」と呼ばれる、「運転するひと」を中心軸として進んでいくロードムービーなのですが、この作品には「ハシモト」にまったく関係のない(出会わない)ひとたちも多く登場し、時間、空間が入り乱れ、なんとなく何のシーンなのかはわかるのですが、当然、説明なんてないので、いい意味で少しぼんやりと、広島の世界にトリップしたような感覚になります。

様々なシーンがあって、暗転中、何度か「飛ぶひとは落ちる」というフレーズで始まる歌が流れるのですが、おそらく観たひとはこのフレーズが抜けないんじゃないでしょうか。

感想はどうだった?

陳腐な感想で申し訳ないのですが、そりゃもう、本当におもしろかった。こりゃあ芝居を観たことのないひとも含め、万人におすすめですよ。

別に過激な何かを見せられているわけでもないのに、なぜだかわからないんですが、物語中盤から異様に涙腺を刺激されて、とにかく劇空間に没頭している自分がいました。たぶん観ていないひとに説明しても「どうしてそこで泣くのかわからない」と言われそうですが、ここにいると本当にものすごく揺さぶられます。なぜなんでしょうね?

笑いの部分も非常によくできているし、役者もみんな上手だし、恒彦さん(演:ノゾエ征爾)のシーンはただただズルいし笑、あっという間の2時間でした。

とにかく構成がホントよくできているんですよ。主軸になる「ハシモト」たちと、彼らにはまったく関係しない、それぞれの人生を生きる別のひとたちとで、いい塩梅にシーンができているというか。話の軸だけで言えば、「ハシモト」たち以外は出てくる必要がないんですけど、それだとこの芝居がこれほどおもしろいとは思わなかったでしょうね。彼らがいたから、2時間の間、あれほど劇に没頭できたんだと思います。

今回の作品、すばらしかったですが、広島の初演が観たかった! 広島を舞台にしていることからもわかる通り、広島でこの作品が観られれば、その感動もひとしおではないでしょうか。惜しいことをしました。

ちなみに登場人物の名前は一部を除いて広島版のキャストの名前がそのまま当てられているようです。

終わって

夕方のスズナリ劇場。

劇場を後にする観客のみなさん、笑顔でした。おそらくぼくも笑顔だったと思います。

12日の日曜日まで上演するようなので、これを見かけて興味を持った方はぜひぜひ、観劇してみてください。

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