なんと、大阪のとあるブックオフに都市出版社版の「家畜人ヤプー」が置いてありました。実物なんて絶対に見ることもないだろうと思っていたのに。しかも値段もたったの600円。即買いでした。
そこで、今日は幻冬社アウトロー版と見比べつつ、何枚か写真を公開します。
ヤプーの思い出
六年ほど前、幻冬社アウトロー版を買いました。あまりに変な話で、ごくごく普通の小説を読んでいたぼくには刺激の強い内容でした。が、なかなかに忘れられない、いまとなっては思い出の一冊です。
ただ、心残りだったのは、幻冬社アウトロー版の「家畜人ヤプー」は一番出来が悪い、というのがヤプーファンの中で常識になっていたことでした。
ヤプーについて自分の知っていること
「家畜人ヤプー」はSM雑誌の「奇譚クラブ」(もちろんぼくは読んだことがありません)に連載されていた小説でした。未来では日本人が西洋人に家畜化されているというSFとSMを混ぜ合わせたものに、果ては日本神話までも手が伸びたトンデモな内容で、その関係より連載停止に追い込まれました。
作家「沼正三」もその後、何年にも渡って表舞台から消えてしまったこともあり、伝説の作品となりました。
(このあたりの事情などはWikipediaのページが詳しいので、ご参照ください。ただし、ネタバレ注意です)
で、その後、何度か出版社を変え、何十年にも渡って加筆修正が行われ、最終的に幻冬社アウトロー版にて、完結という形に終わったのですが……。あまりにも長い期間の加筆修正のせい(なのか作者本人が変わってしまったなんて説もあるぐらい)で、作者の文体、文章力、考え方、その他もろもろが変わってしまい、「おもしろい」と評価されていた最初期の箇所ですら改変されてしまい、結果的に幻冬社アウトロー版はほとんど評価されていないというのが実情のようです。
幻冬社アウトロー版しか読んでいなかったぼくでも、都市出版社版と角川文庫版の評価が高いことは聞いていました。それに、連載停止になった初期の部分と比べて、後半部分は「これだけネタを考えてたんだけど時間がないからとにかく構想を解説してく」みたいな雰囲気で、明らかにグダグダでつまらなかった記憶があります。
それだけに、初期バージョンも「いつか見てみたいなあ」と思っていたまま、かなわずにいまに至ったのでした。
噂の「ASHICK」
個人的な記憶はここまでにしておいて、初期バージョンの「家畜人ヤプー」が手に入ったので、かんたんに見比べてみました。
初期のバージョンでどうしても見比べたかったのが、この「OSHICK」のところ。
幻冬社アウトロー版では直球で「OSHICK」と記述されていますが、ネットを見てみるとここが「直球すぎてつまらない」と大不評。そういう言葉がこういう使われ方をするのに、ぼくはふつうに感心してしまったんですけれど、もともとの「ASHICK」のほうが断然いいと聞いていたので、どんな感じなのか調べてみたかったんです。
ここがその部分です。
……。なんというか、ぼく個人としては、どっちでもいいような気がします。沼正三が入れ替わった説を持ち出すひとは必ずここを取り上げていたので印象的でしたが、ぼくには「ASHICK」と「OSHICK」がそれほど大きな違いに思えません。最初に読んだ方が印象的だということでしょうか。
都市出版社版の写真
それでは、せっかくなので、何枚か写真を撮って、アップロードします。色と挿絵が非常にいい雰囲気です。
久々にページをめくってみて
改めて読み返してみると、やっぱりイカれた作品ですね(笑)
初めて読んだ時も「なんじゃこりゃ」と思ったものですが、久しぶりに読んでも「なんじゃこりゃ」でした。
文字色が緑なのもポイントです。オドロオドロしいイースの雰囲気にぴったりな気がします。挿絵もあるし、雰囲気ぴったりです。
最初期の都市出版社版でさえ上下二段で400ページを超える作品なのでいますぐ読み切るのはできませんが、ゆっくりのんびり読んでいきます。
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